小滝を囲むブナ林の若葉が芽吹く頃、稲の苗作り「すじまき」が始まります。苗が独り立ちできるほどに育つと、いよいよ田植えの時期です。小滝では、父ちゃんたちをはじめ、子どもから年寄まで集落のみんなで作業をおこないます。
田植えが終ると、集落のみんなでお宮の前の広場に集まり、この地ならではのネマガリタケのお汁などを囲みながら、田植えまでの作業の疲れをねぎらう「田休み」をおこないます。 田植えの後は、毎日朝起きてまず田んぼの水見をするところから始まり、日暮れ前にもう一度水見をして1日が終わります。米づくりは、小滝の大事な暮らしの営みなのです。
そして秋になると、小滝が黄金色に色づき、待ちに待った稲刈りとなります。
ある父ちゃんに教えてもらいました。「朝一番の田の水と夕方の田の水を触りくらべてごらん。全く水の温度が違うんだ。これがうまい米ができる秘訣なんだよ」と。そうした父ちゃんの背中を見て育ち、また子どもたちに伝えて、小滝の米づくりは受け継がれています。